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南アラビア語碑文

材質 石・石製品
地域 イエメン
文化 その他
SK番号 SK050-00-000
説明 紀元前1千年紀からイスラーム勃興時まで、イエメンを中心とする古代南アラビア地方の内陸、高原地方では、高度な文化が展開していた。サヴァ、ハドラマウト、カタバーン、マイーンの四王国が並立し、さらに紀元後にはヒムヤル王国が台頭し他の国を併呑している。乳香など香料貿易やダムなども使った灌漑農業で栄えた古代南アラビアの国富は、旧約聖書のシェバ(サバァ)の女王の伝説にも反映されている、とみる研究者もいる。
古代南アラビア文字は、古代南アラビア文化で使用された表音文字である。現在のアラビア文字と同じような子音アルファベット文字であり、最初期の碑文では書字方向が行ごとに交替する牛耕式で書かれているものがあるが、後には、この碑文のように右から左に書かれるようになる。
古代南アラビア語は、古代南アラビア文字で記されたセム系の言語で、現在その後身にあたる言語が僅かにアラビア半島南部に残っている。いくつかの方言に分類されるが、本碑文は、サバァ方言で書かれている。作成年代は紀元前3世紀から後3世紀くらいと思われる。
本碑文は、おそらく5行で、条文にさらに欠損した行があった可能性は少ない。しかし、右側には、数語分の欠損があると推測される。
内容は、サバァ王国の都マァリブ近郊のアゥワームにある月の神イルムクフの神殿への奉献碑文であり、そこから出土したものと思われる。訳は以下の通り。[ ]は欠損不明分を表す。
「[奉献者の名]、ハビーブ家の者達が[アゥワームの]主、イルムクフ神に奉献した、[ ]シルワーフ(族)の[ ]青銅の像を。[イルムクフ神が彼らと  ]幸福な彼らの息子達を守り、彼らに幸福な[ ]男子達を加えられんことを。」
悠久のナイルと人々’11(特別展示92)より
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